美術科

主幹教諭 金間 陽子

Ⅰ はじめに

人間の学びは校種によって分断されるものではなく、生まれてから生涯にわたってつながることは言うまでもない。そして、多様化する人々の価値観や、社会情勢の揺らぎに対応できるバランス感覚をもった資質・能力と創造性が不可欠である。社会における美術の役割は、AIをはじめとする技術革新と共に、総合芸術など分野超え広がりを見せて留まらない。一方で、造形や美術の働き、美術文化についての実感的な理解を深め、生活や社会と豊かに関わる態度を育成すること等については、更なる充実が求められる状況にある。そして、教科等横断的な視点から様々な資質・能力と創造性を育成し、生涯にわたって自己の生き方を見つめ、多様な人々を尊重し、共によりよく生きることを目指す柔和で力強い精神と豊かな人間性を育むことが一層求められている。

 本来、美術における表現活動は、一人の人間として生きる欲求に素直に向き合うことである。それは、他者の存在によって自己を認識し、自然と文化の調和に思いを馳せ、希望的に生きようとする心の働きと言える。そして、美術教育においては表現及び幅広い活動を通して、造形的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる資質・能力を育成することを目指している。一方で、人格が形成される過程において、子ども達を取り巻く世界が「上手下手」「良い悪い」という価値に寄り過ぎることがしばしば見受けられる。そのような状況にあっては、子どもは自身の存在を脅かされたと感じ、筆を置き、自分の思いや考えをも周囲に合わせ、確実にできることを求めるという守勢になることは憂慮に堪えない。安心して自他の存在を感じ取る環境が必要である。一人一人が美術の幅広い活動を行うことによって、造形的な視点をもち、心の機微に思い及ぶ豊かな人間性が育まれる。

 平成29年3月31日に公示された新学習指導要領の美術科の目標では「造形的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる資質・能力」の育成を目指し、「美術の働き」に注目している。合わせて、教科横断的な視点があげられ、美術科としても3年間の中で社会科や道徳科、総合的な学習の時間など、教科や領域間のつながりを意識した題材に取り組んでいくことで、「自己を拓き、協創する生徒」の育成を目指す。

 

 

 

   

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